最近、パンを食べ過ぎて体重も増加してきたのでジョギングをはじめた。
この日は普段より多く走ろうと、つい初めての道を走って、あと1km走ったら引き返そうと思っていた。
折り返そうと思った矢先、たぬきがじょうろに頭突っ込んで車にぶつかったりしてウロウロ歩いていた。
何より目の前は結構な大きい道路で、すぐにはねられてもおかしく
なかった。自分の力だけではじょうろは抜けなかった。
夜に水でも飲もうとしたのかもしれない。
ウナギのワナの仕掛けみたいに、入るのは簡単だけど、抜くのは
痛い、難しい、という構造になっていた。
(わからない人は円柱状のウエットティッシュの穴に指を差し込んでみてほしい)
どうしようか考えていたら、道路の向かい側の家の、大きい蔵があるような家のおじさんが出てきた。
親子で庭をうろつく姿をよく目撃されているらしかった。
また力づくでじょうろを取ろうとすると「あぶない噛まれるぞ」(野生のたぬきはヤバい菌がある、とのこと)とおじさんに何度も言われた。
私もジョギング中で短パンで思いきし軽装だったので、噛まれてもたまらない。おじさんが何度も言うので急におそろしくなった。
ほかにも、
・ちょっと軍手をお借りしていいですか?→「危ない。そんな簡単に済む話じゃねえ(もっとヤバいぞ野生動物のバイ菌は)」
・獣医に連れて行く案→「一番嫌がられる」(野生のたぬきは菌がいっぱいだから厄介)
・警察に連れて行く案、消防に連絡する案→「菌を持っているので嫌がる」
とにかくおじさんはマイナスなことばかり言うので、急に恐ろしくなった。
あれこれ路頭に迷って「誰かに任せて帰ろうかな・・」と思っているうちに、おじさんは家から高枝切りはさみを持ってきてくれた。
おじさんがじょうろの口を切ろうとしたんだけどうまくいかず、
結局また「どうしようか・・・」となった。
たぬきも、無理に何度も外そうとするので、首も充血し、痛くてかわいそうになってきた。
ダメもとでもう一度私が高枝切りハサミを借りて、チャレンジしてみた。
おじさんは押さえていてくれた。
何カ所か切って、どうにかたぬきのじょうろを抜くことができた。
タヌキは、一瞬解放されたような表情をしたけど、すぐ何処かへ走り去ってしまった。
と、そこまでは、ごく普通の出来事だった。
帰宅後だいぶ経って妻に話すと「(ツイッターで)つぶやけばいいのに」と言われ、それほどのこと?と思ったが、つぶやいてみた。
そしたら翌日、リツイートが1.3万人を超えていた。
お気に入りもすごい数だ。
最近漫画の新刊も出たけどこんなにリツイートされたことがない。
リツイートの中には、全員人間でなくてきつねやたぬきも絶対いると思う。